今更ですが、映画「君の名は。」を観て。とんでもない映画を観てしまった・・・。(長文ネタバレあり)
好きです。
おっさん、こういうストーリー、ダメなんですよ、物凄くキュンキュンして…。
正直に言って期待はしていませんでした。
「千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」の時も「パシフィックリム」の時も「ゴジラ」の時も、言われているほど何かを感じることはなかったですし、最近映画に対して斜に構えてしまうような事があってどうにも心から楽しめていませんでした。
自分は新海監督の作品は「ほしのこえ」で知ってからファンでしたが、「秒速5センチメートル」から後の作品は少し合わないなぁと感じていました。
今でも「秒速5センチメートル」と書くと震えが来るほどにトラウマになっています。
…嫌いじゃないけど。
そしてここにきて、まさかのポスト宮崎駿と騒がれるほどに急浮上してくるとは思いもせず、カップルに大人気!と聞いて「どうせミーハーな人たちのおもちゃにされてるんだろうな」という考えもありました。
が、本日実際に観に行って、まさか、まさかこんなに心を締め付けられるとは思いもしませんでした。
物語序盤から入れ替わる二人、瀧と三葉。
互いに始めは夢だと思っていたのに、周りの家族や友人がその異常に気付き、翌日元に戻ってから奇行を聞かされる。
そして三葉のノートには瀧の描いたスケッチと「お前は誰だ」の文字。
一貫してこの「誰?」というのが物語の根底にずっとあって、タイトル通りすべての根源につながっています。
三葉は神社の巫女で、口噛み酒と組紐を作る神事を行う。
なぜこういう神事を行うかは火事で焼けてしまって伝承が残っていないのでわからないと祖母の一葉は言います。
しかし心無い同級生の言葉で傷つき、田舎は本当に嫌だ!来世では東京で暮らしている男子高校生にして!と叫びます。
そして翌日、瀧に入れ替わる三葉。
それは夢ではなく、実際に意識が入れ替わっていると気づく瀧と三葉。
お互いに入れ替わっている間のルールを決め、その日の日記をスマホに残します。
瀧が三葉の中にいる時は喧嘩っぱやく少し粗暴、三葉が瀧の中に入っている時は女子力高め。
そんな日々を過ごしていくうちに、二人は少しずつ相手の事が気になっていきます。
そんなある日、瀧(三葉)が瀧のバイト先の先輩で想い人でもある奥寺先輩とデートの約束を取り付ける。
奥寺先輩は三葉の入っている瀧が気になっている様子、三葉も何の気なく、瀧のためを思っての行動だったが、翌日入れ替わりが解け、瀧本人がデートへ行かなければいけなくなる。
目覚めると泣いている三葉。
ここで自分の気持ちに気付く。
そして瀧もどこか上の空で、奥寺から「私のことが好きだったみたいだけど、もう他に気になる子がいるでしょう?」と言われる。
デートが終わり、三葉の残した「一緒に彗星を観よう」という言葉を「何を言ってるんだ」と気になり三葉に電話を掛ける瀧。
そのころ三葉は友達の地元のお祭りへ。
髪を短く切り、友達を心配させるが、彗星を町の人と眺めている。
彗星は空の彼方で二つに割れ、その彗星を眺めている三葉の姿が消える。
瀧のかけた電話は繋がらなかった。
それ以降入れ替わりは起きなくなった。
三葉が心配になった瀧は三葉に会うために同級生の司となぜか司に呼ばれていた奥寺先輩と共に三葉の住んでいる飛騨に向かうが、町の人に瀧が見た町のスケッチを見せても誰もわからないという。
そしてたまたま食事をとりに入ったラーメン屋に三葉の故郷糸守町出身の店主がいた。
「どこにありますか?この近くですよね!」
そう尋ねる瀧に店主、そして町の名前を聞いた司が答える。
「3年前に隕石が落ちて町は消えた」
そう、瀧が入れ替わっていた三葉は3年という時を超えて入れ替わっていた。
その理由もわからず、瀧は糸守町のことを調べ始める。
奥寺先輩が見つけてきた被害者名簿には、三葉、三葉の家族、三葉の友人など町の被害者500名以上の名前が記載されていた。
瀧が奥寺先輩とデートをして三葉に電話した夜、三葉の時間軸では丁度ティアマト彗星がもっとも地上に近づく日、瀧が3年前に東京で観たティアマト彗星が近づいた日。
そしてそのティアマト彗星が分解し、その一部が隕石として三葉の住む町へ直撃した日だった。
瀧は諦められず旅館でも事件のことを調べている。
しかし、段々と、瀧は三葉を忘れていく。
奥寺先輩と話をしている時に、糸守町は組糸でも有名だったという話を聞きます。
瀧はいつも右手首に組糸をまいている。
奥寺先輩に「それも組糸だよね」と言われ、誰かにもらったと思うけど覚えてないと答えます。
翌日瀧は一人で出かける。
三葉と入れ替わった際に行った神事、その神事を行った場所へ。
そこはあの世に近い場所、立ち入れるのは巫女のみ。
巫女とは三葉、そして妹の四葉、この世に帰るためには贄がいる。
その贄が口噛み酒、口噛み酒は巫女が作った巫女の半身。
その酒瓶を見て、瀧は言います。
「これが俺の奉納した口噛み酒、こっちが妹の…」
瀧はもう三葉の名前を思い出せない、だからここでは三葉になった時を思い出して「俺が…」と言っています。
その口噛み酒を一口飲み、足を滑らせて倒れる瀧。
祠の天井には、なぜか隕石の絵が…。
それを見て何かに気付く瀧ですが、意識が飲み込まれ三葉の記憶と同化していきます。
そして目を覚ますと瀧は三葉になっていた。
日付は隕石が落ちるその当日。
まだ間に合う、そう呟いた三葉(瀧)を観て三葉の祖母一葉は「三葉じゃない」と言います。
どうやら一葉は三葉の入れ替わりに気付いていた様子、昔は一葉も入れ替わりを体験したことがあるのだとか。
そこで瀧は隕石が落ちて皆死んでしまうと打ち明けますが、これは信じてもらえません。
妹には「お姉ちゃん変だよ、昨日は急に東京に行くとかいうし」
と怪訝な顔をされます。
そう、実は三葉は瀧がデートの日に東京へ瀧に会いに出かけたのです。
その時に電車の中で瀧を見かけて声をかけますが、3年前の瀧は三葉が誰なのかもちろん知りません。
落ち込んで電車から降りようとする三葉を瀧が呼び止めます、君の名前は!
その時三葉が自分の髪留めに使っていた組紐を瀧に渡します、覚えていてと。
瀧の右手の組紐は三葉のものでした。
瀧は三葉の友人である克彦と早耶香に助けを求めます。
克彦は糸守で建設業を営む家の息子でオカルト・機械マニア、早耶香は克彦に行為を抱く放送委員。
克彦が家から工業用発破を持ちだし変電所を爆破、停電になったところで早耶香が高校の放送室から緊急避難放送を町中にある町内放送用スピーカーから流し隕石の落ちる範囲の外まで非難させるという作戦を考えます。
瀧は三葉の父親である糸守町長の元へ直談判に。
しかし町長は三葉がおかしくなったと取り合いません。
娘に対して辛辣に接する姿を見て激怒した瀧は父俊樹のネクタイを掴み捻りあげます。
その姿を見て父は「お前は誰だ?」と問いかけます。
父も入れ替わりについて知っている様子。
瀧はその場を後にし、どうしたらいいのか途方にくれる。
そんな時にふと神事を行った祠へ視線が向きます。
「そこにいるのか」
そう呟いて克彦から自転車を奪い、準備を頼むと走り去ります。
そのころ祠では、瀧の中に入った三葉が目を覚まします。
自分は死んだはず、そう思いながら外に出るとそこは町が滅んだあとの世界。
そこに三葉の名前を呼びながら瀧が現れます。
お互いに会いたい、そこにいるのか、と声をかけますが声はすれど姿は見えず。
諦めかけたその時、かたわれ時(誰彼時)が訪れると二人は直接触れ合えるように。
三葉も瀧も自分の身体に戻り、瀧は計画を三葉に伝えます。
そしてお互いに名前を忘れないように、お互いの手のひらに名前を書こうと三葉の手に何かを書き、三葉が滝の手に名前を書こうとした瞬間かたわれ時が終わり、二人は離れ離れに。
そして急速に三葉の名前を忘れていく瀧。
自分は何のためにここにいるのか、誰かを助けたかった、誰だ、お前は誰だ…。
三葉は瀧の名前を叫びながら山を下ります。
克彦と合流し、作戦を実行に移しますが、中々非難がうまく行きません。
再度三葉は父を説得するために役場へ走りますが、克彦、早耶香は計画がばれてしまい捕まってしまいます。
坂道を必死で走る三葉、隕石はもう見えています。
段差に躓き、盛大に地面に体を打ち付ける三葉。
諦めかけた時、自分の手のひらを見る。
「すきだ」
これじゃあ誰かわからないよ、と泣きながらも必死に立ち上がり走り出す三葉。
三葉が役場の町長室にたどり着いた直後、隕石が糸守町へ直撃します。
そして隕石衝突から8年、瀧が三葉を訪ねてから5年が経ちました。
もう名前も顔も覚えていない、瀧は就職活動をしながらいつも喪失感を抱えていました。
右手をじっと見る癖が抜けません。
街で「誰かに似た人」とすれ違います。
お互いに気にはなっているようですが、顔を見ることはできません。
そしてある日、電車に乗って窓の外を見ていた瀧。
向かいの電車の中に三葉を見つけます。
三葉も瀧の顔を見て驚いている。
二人は次の駅で電車から転がるように飛び出して、必死にお互いのいる方向に向かって走ります。
そしてついにとある階段の上と下で出会う二人。
二人は一度はそのまま通り過ぎますが、瀧が振り返り三葉に話しかけます。
覚えていないはずなのに、気持ちがあふれて止まらない。
三葉も涙を流しながら、瀧に答えるのでした。
自分に文才がないのが悔しくて仕方がない。
こんなにも文字にすることが難しいと、こんなにも伝わらないことがもどかしいと感じたことは一度もありません。
それほどまでにこの映画は言葉にできない、胸を締め付けるような雰囲気があります。
何の前情報もなく見に行ったので、二人の時間軸のずれ、フラッシュバックするような記憶の伏線の意味が分かりませんでしたが、中盤以降で一気に回収していく勢いに物凄く納得させられました。
終盤の流れが少し急で、しかも「秒速」と似た流れになっていたので不安でしたが、きれいに終わってくれて本当にうれしいです…本当にうれしい。
ここからは自分の推測での感想になりますが、宮水一族(三葉の家系)は全員がそういう経験、または能力があったのではないでしょうか?
祖母の一葉も記憶はおぼろげながら経験があると言ってましたし、父の俊樹の反応は明らかに中身が別人であると認識しての発言でした。
ということは、もしかしたら三葉の母である二葉にも同じ能力があり、俊樹と何度か入れ替わりを体験して結ばれたのではないでしょうか?
でなければ、「誰だ」という反応は出てこないと思います。
そして宮水の一族は御神体、聖なる土地としてとある山の祠に口噛み酒を奉納する神事を行っていましたが、この山どう見てもクレーターなんですよね。
物語終盤、瀧が三葉の口噛み酒を飲んで倒れる瞬間、祠の天井に隕石の壁画がある事から、この土地には昔一度隕石が落ちてきたのではないでしょうか?
だから祖母の一葉も「ここから先はあの世」だと言っていたのではないでしょうか。
ただ火事で宮水の一族が行う神事が何のためなのかがわからなくなっているので、映画の中では断言はできませんが…。
そうなると宮水に伝わる能力も謎ですね。
男性としか入れ替わることができないのか?
三葉の父俊樹は入り婿で二葉を異常なほど愛していた、二葉が死んでしまった後に二葉のいない家に用はないと出て行って町長になっていますから、この想いの大きさも入れ替わりがあったからこそなんじゃないでしょうか?
瀧が三葉の祖母一葉にすべてを打ち明ける時に、家の中で古い写真が飾られていますがこれはすべて女性。
これも何かしらヒントになりそうですね。
隕石との関係性やこの宮水一族の能力、そういった部分は小説版などで説明されているんでしょうか??
明日すぐに購入して確かめてみたいですね。
さて長々書きましたが、一言声を大きくして言うことがあるとすれば、
ぜひ劇場で観てください。
ということです。
この映画は素人が口で語るにはあまりに刹那的な気持ちで創られています。
私はそれを言葉にする術を知りません。
ネタバレを知ってしまっても、実際に映像で観るとまったく違う世界がみえるはずです。
どうか、どうか劇場へ一度足を運んでみてください。
よろしくお願いします。